もしもし

じいちゃんに電話をしてみようと思った。理由は特になかったけど、なんとなくしてみようと。

 

電話に出る訳などなかったが、登録してあった番号にかけた。

 

プルルルとかからない音をずっと聞いている。

なんで生きている間に一回でも自分からかけなかったのか。たまに大阪からお米やばーちゃんの手作りのカバンやら服やらが送られてきて、その度にお礼の電話はしていたが、何もない時にかけたことはなかった。

 

ガチャ

 

はい、もしもし。

 

えっもしもし?

 

誰かしら。

 

え?ばーちゃん?

 

あーたけしくん?

 

そう。たけしやわ。え、びっくりしたわ。なんでばーちゃんが出るの笑。解約したんじゃないの?

 

あー、これな、ばーちゃんがもらってん、じーちゃんから。

 

あ、そーなんか。

 

そーやねん。どないしたん?元気?学校は?

 

あーぼちぼち元気やで。

 

ばーちゃんあと二年は頑張るでな、あんたもがんばりやー笑

 

ありがとう笑

 

ばーちゃんの電話の向こうで、大阪に帰省している母からの声が聞こえてくる。

 

あんた、ばーちゃんこずかいくれてんで、ちゃんとお礼いいや。ほんまに。

 

おー、さんきゅー笑毎度ー笑。今だいぶ財布軽いねん、命拾いしたわ。おおきに笑

 

 

 

命拾いしたわ。おおきに。