祖父の漕ぐ自転車の後ろにのって、たらたらと溶けているアイスクリームを一生懸命に食べている。

これが大阪での初めての記憶だと思う。

3歳になっていないくらいだろうか。

いつもならはよ食べろやと母に怒られていたのだろうが、祖父の背中は怒ることなく、ゆっくりと何かを歌っている。

 

大阪の夏は、ミンミンという蝉の音ではなく、シャーシャーというクマゼミの鳴く音があちこちから聞こえる。

 

だが、このあいだ家から大学に行くために最寄りまで自転車を漕いでいると明らかにシャーシャーと鳴いているセミの声が聞こえた。

東京も大阪くらい暑くなったということなのだろうか。

 

夏は必ず地元の花火大会に行く。

一番好きな花火大会だ。

今年はわけあって行けないことになっていた。

いろんなやつと行ったなーと懐かしく思っていると、電話がかかってきたりなんかして。

地続きになっているなと感じた年寄りは、論文発表後もその緊張をまだ手放せずにいた